私は世代的にロストジェネレーション、いわゆるロスジェネと呼ばれる世代にあたる。この世代はバブル崩壊後の不景気で企業が採用数をしぼったために、フリーターや派遣社員など非正規雇用のまま、年齢を重ねた人が多いとされている。最近は政府から人生再設計第一世代なんていう、トホホなアダ名をつけられた世代だ。
とはいえ私自身に関して言うと、私たちの世代がロスジェネと呼ばれているのを知ったのは、かなり後になってからである。
当時の私の意識としては、自分の人生が思うようにうまくいかないのは、ひとえに自分の実力不足、努力不足につきると思っていたので、自分自身の不遇ぶりにたいしては、自己責任という認識だった。
なにせ自分はDTPによる印刷物製作という00年代当時としても、斜陽産業まっしぐらの業界に身を置いていたからだ。自分が思い描いていたような社会人キャリアとは程遠い低賃金、重労働の毎日。結婚なんてこの経済状況じゃ夢のまた夢。(私の場合は後に奇跡的に結婚して子供ももできたが。)
ロスジェネ世代は社会に出た瞬間、不景気の荒波にさらされた世代であるが、一方で景気が良かったバブルの時代に学生時代、青春時代をすごしてきた世代でもある。私の個人的な所感でいえば、ロスジェネは、いい大学にいって、いい会社に行くのが結婚して子供をもうけて休みの日は家族サービスをして、人生の正解と教えられた世代なのだけど、もう一方でロックミュージシャンなどのカウンターカルチャーのヒーロー達が、「君たち、本当にそんなレールを敷かれた人生で良いのかい?死んだ目で毎日、満員電車に揺られているサラリーマンのようになりたいのかい?」若者を煽りまくっていた世代なのではないかなと思う。
そうしてメディアヒーロー達の啓蒙を受けた結果、若かりし頃の私は、そんなつまらないサラリーマンになんてならないぞと決意するのだが、社会にでてみたら親世代が当たり前に手にいれているように見えた結婚や子育て、サラリーマンとしての日常というものが自分達にはおそろしく入手困難なものになっていたという現実が待ち構えていた。
おそらく同じような気分を抱えたロスジェネ世代の人間は多いのではないかと思う。
私にとってのロスジェネ世代というのはそのような、かつて上から目線で見下していた普通の小市民生活すら得ることが困難になった世代で、そりゃ挫折感は凄まじいよねと思うのだ。
このテーマに関しては、また別の機会にもう少し掘り下げて書いてみたいと思うので、本日はここまでとしたいと思う。
*本記事は2020年に記載した記事の再アップとなります。
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